Sense of Pulse

Yosuke Matsubara

20 July 2022 

 目に焼きつく、耳にこびり付く、あのとき口にした嗅いだあのにおい。無意識に自分が形成されゆく。五感に訴えかける響くものがフラッシュバックする感覚。それは旅先のシーンでよく生まれる。旅の道中で出会ったものが日常に戻り、意図しないタイミングで当時の情景がわーっと脳内によみがえってくる。

例えば、ニューヨークの路上ででフルマラソン並みの距離をひたすら歩き続け、ひたすら聴き続けたゴンザレスのピアノ。シアトルの美術館の庭で聴いた乾いた季節にふさわしいサブライムのアコギ。ポートランドのダイナーで流れてきたスザンヌベガのTom‘s Diner。いまでもそれらを聞けば一瞬でその当時にワープできる。

 

においも同じく、どこかの国のどこかのトイレにあったインフューズな感じが心地のよい匂いとしてふとした普段の生活の瞬間にあったり。

 

食べ物もなおさらわかりやすく、ハーブやスパイシーなものほどどこかしら舌がおぼえている。乗り継ぎで降り立った空港内の多国籍料理屋で味わったあの感じが地元のレストランでも記憶が戻ってくる感覚が意図しない旧友との再会みたいでどこか懐かしい。

 

移動できなくとも旅を感じられることができるのは人間の本来から備わった優れた感覚かもしれない。

どこからともなく、いまの瞬間をキャッチできる技は先人たちのDNAを受け継ぎながら暮らしてきた我々人間である。これからも人間としての営みを続けてきたい。

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